「店舗設計」と「店舗デザイン」の違い、設計施工の費用相場とは？

飲食店や美容室などを新たに開業しようと思うとき、特に気になるのが店舗設計・デザインにかかる費用でしょう。
限られた予算の中でどれだけ理想の空間を作ることができるのか、業者からの見積もりが適正なのかを自身で判断することはとても大切です。

また、「店舗設計」と「店舗デザイン」は似たようなイメージを持たれがちですが、実際は微妙にニュアンスが違います。

今回はこれらについて解説します。

店舗設計と店舗デザインの違いとは？

店舗デザインは主に設計事務所が対応する分野です。

色彩、照明、空間デザイン、ディスプレイなど、店舗の外観と内装をデザインすることで、お店の魅力を引き出し、「おしゃれ」「かっこいい」といったブランドイメージための視覚的な要素を構築することに重点を置いています。

一方店舗設計は工務店の対応範囲で、店舗の機能性と実用性に焦点を当てています。

店舗設計は、効率的な作業、顧客の動線、商品陳列スペース、ストレージなど、店舗の機能的な要件を満たすために空間を計画することに重点を置いています。
設計士やインテリアデザイナーと協力して、建物のレイアウトや構造、配管、照明、通気などの要素を考慮しながら、店舗の実際の形状や配置を設計します。

簡潔にまとめると、店舗デザインは視覚的な魅力とブランドイメージを重視し、店舗設計は機能性と実用性に重点を置き、店舗の空間計画や施設設計を行います。

ただ、店舗デザインと店舗設計はどちらか一方で完結するものではありません。

設計事務所は施工を依頼する工務店を、工務店は設計を依頼する設計事務所を抱えているものなので、相談の際はそこまで心配する必要はないでしょう。

店舗設計・デザインの費用相場は？

次からは店舗設計・デザインの費用について解説します。
もちろんデザイン・設計費用は、業種や店舗の大きさ、設計要件によって大きく変動しますので、あくまで一般的な目安としてご覧ください。

費用の内訳はおおまかに「設計費用」「施工費用」に分かれる

店舗設計・デザインの費用は大きく分けて設計費用と施工費用に分かれます。

設計費用は、店舗の設計に関連する費用です。
建物のデザインや構造の計画、図面の作成、規制や基準への適合性の確保など、設計段階における活動に関連して発生します。

一方、施工費用は建築物の実際の建設や工事に関連する費用を指します。
これには、建築資材費、実際の工事費用、現場に関わる職人さんの費用などが含まれます。

依頼している業者が設計事務所で、施工は別の工務店…などの場合はそれぞれの見積もり提示がありますが、業者が設計施工の両方をやっている場合は1社での料金提示になります。
その場合どこまでが設計費用でどこまでが施工費用なのかわからないこともあります。気になる場合は内訳を聞いてみるのもよいでしょう。

設計費用は坪単価、もしくは全体工事費から計算される

設計費用は、坪単価から計算する方法と全体工事費から計算する方法の2つがあります。

坪単価で算出する場合、一般的な相場は坪単価×5万円といわれています。
ただし、坪単価は一定ではありません。10坪未満の小規模な店舗では非常に少額になってしまうため、最低額が設けられている場合もあります。
逆に、50坪を超えるような大型の店舗では、坪単価が下がることもあります。

一方、全体の工事費用から計算する方法は、設計施工を一貫しておこなう業者によくみられ、一般的には、総工事費用の10〜15%程度が設計費用となります。

施工費用は居抜き物件なら200万円〜400万円が目安

空調や水道などの前の設備が残っている「居抜き物件」では、施工費用が比較的低く抑えられます。
一般的に、居抜き物件の施工費用は200万円〜400万円程度であり、オープンする業種によってはそれ以下の費用になることもあります。

特に飲食店の場合、厨房設備を再利用できる場合は大きな費用削減が可能ですので、開業を考えている方にとっては魅力的な選択肢となるでしょう。

内装や設備を撤去した「スケルトン物件」や更地に建設する場合では、居抜き物件の5倍移以上の費用がかかると言われています。
スケルトン物件では内外装の施工に加えて、電気やガス、外構などの工事費用、什器の購入や搬入費用も考慮する必要があります。
そのため、スケルトン物件での開業を考えてる方は、十分な資金計画を立てることをおすすめします。

まとめ

今回は店舗設計と店舗デザインの違い、そして設計施工の費用相場について解説しました。

店舗デザイン設計は建物の状態や業種によって大きく異なるため、具体的な金額は要件や現地調査に基づいて算出されます。

開業や物件の改装を検討する際には、設計士をはじめ専門家との相談を通じて、適切な施工費用の見積もりと資金計画を策定することが重要です。

ひとりで悩んでいる問題も相談したらすぐに解決することもあります。開業をお考えの方は、ぜひ一度相談してみてください。